映画女優・前田敦子を見る

 『Seventh Code』 @吉祥寺バウスシアター


ウラジオストクの観光映画として見てもいいかも。なんか、日本に似てる。気がする。極東だから?さびれた北海道、みたいな。
黒沢清の映画はやっぱり音だなあ、と再認識。「映画」の半分は音だとあらためてつよく認識する。音で不穏さは出せる。音で観客の感情をコントロールできる。安易な手段になりかねないが、うまくやれば極上のものになる。人間の知覚とは曖昧なものだ。その正体がとるにたらないものだったとしても、それが得体のしれないものである限り、簡単に、怖くなることができる。黒沢清は五感に訴えかける映画を撮るひとだなあ、と思う。前田敦子のためのPVでもあるからかコンパクトな映画で筋書きもシンプルなんだけど、前半の追う女と追われる男、後半の追う男と追われる男の活劇のスリリングさはさすが!と唸りました。実に映画的なカット割、カメラの動き。

途中わかりやすい伏線があったので(観光客のはずなのに、ロシア語普通にしゃべれたり、扉のパスワード知ってたり)まえだあつこの最後のほうの行動は読めたけど、画面の中を縦横無尽にうごきまわる身体の躍動はよかったね。だけど、あれは運動できない人の身体だな。キックとかはいいんだけど、走るところが…運動やってきた人間から見ると物足りない。ニブすぎるんだもん…。いくら音で強そうに見せてもね~。
レストランの斎藤さんの結末、フラグはあったけど、かわいそう。前田敦子のためにがんばったのに…いや、自分のためにがんばったのか。市役所の健康保健課から世界にとびでたけど、日本にいちばんちかいウラジオストクに店をやるあたり、斎藤さんの思い切れない感じが出てる。でも、平凡な斉藤さんにとって、自分にとっておそらく人生はじめてで人生最大の冒険にチャレンジすることができたので、ああいう結末も不幸ではないのかもしれないな、とふと。小市民なので、本筋とはあまり関係ないですが、ついつい斉藤さんに共感してしまうのであります。

前田敦子そんなに好きじゃないし(やはり顔が…)、最盛期のAKBの活動にもほとんど興味を持たないまま気づいたら引退していたという感じだったのだけど、不穏で不思議な物語にはあのファニーフェイスはけっこうハマるなあと思った。

 

爆音映画祭のシークレット上映なのに、けっこう席があいていた。まえだあつこファンってけっこうすくないのかしら。AKBをやめてから減ったの?それとももともとすくないの?それともAKBファンと映画ファンの層が違うからこの上映に気づいてないだけなのかな。